鹿児島旅行記~美味い物探し編~

 1月末日に3日の日程で鹿児島に旅行に行ってみた。《西郷どん》が放送されるなか、さながらミーハーかつ安易な旅先の選択に思われるかもしれない。西郷どんが面白いのは確かだが、私は旅行では「食」に拘ってみたいのだ。単純明快にうまいものが沢山食べられる旅行先はどこかということで、鹿児島を選んだ。

 実は今回の鹿児島は初めてではなく2回目だ。大学・大学院時代の友人が鹿児島出身であり、以前友人と鹿児島を2泊3日の日程で回ったことがある。その時は、市内観光と登山(開聞岳高千穂峰)を目的としていたのだが、図らずして地元の美味い物を幾度となく友人M氏は私に紹介し続けたのである。当然ながら、全てを食べられる訳もなくその時の旅行は、美味い物に対して若干の未練を残しつつ、終えたのである。今回は、美味い物を食べつくすためのリベンジ&温泉を目的にして鹿児島に出発したのである。今回の記事は、鹿児島で食べた美味い物を紹介する。

 1日目は、鹿児島市内と桜島の美味い物だ。鹿児島市には、中心部に天文館と呼ばれる繁華街があり、界隈には飲食店やデパートが集中している。鹿児島ビギナーもここに来れば鹿児島の有名なお土産や飲食店は見つけられる嬉しいエリアだ。鹿児島は、魚と肉が好きという人にはたまらない。なぜなら、和牛、黒豚、海産物いずれもが新鮮かつ美味しいのである。そんな鹿児島市にある《廻る寿司めっけもん》に行ってみた。私たちが伺ったのは、ドルフィンポート店という天文館から少し離れた場所にある店舗だ。駐車場が完備されているので、レンタカーを利用している人には、使いやすい店舗だ。白身が豊富に用意されているという、白身の握りマニアにとってはワンダーランドな回転寿司でおススメなのは、《細魚》だ。身の歯ごたえはほどよく、細魚独特の旨みを最大限に味わえるネタに仕上がっている。他にも白身の種類はあるが、おすすめの食べ方は地魚白身3カンを頼んだのちに、おすすめのお品書きに記載されて吊るされてるメニューから選んでいくとよい。

f:id:nagappi:20180127112549j:plain

 1日目の夜は、熊襲亭》で郷土料理を頂く。ここで体験したかったのは、鹿児島の味付けというものだ。友人から聞いていたが鹿児島は甘い味付けが好きらしい。味覚の文化を体感するなら郷土料理だろうということで、ここで郷土料理を食べた。甘い味覚も醤油に始まり、とんこつ、酢味噌と続くと自然な感覚に覚えてくるものだ。

 郷土料理だけでは、口さみしい大人たちは、締めにラーメンという選択肢がある。そんな鹿児島ラーメンのお店で今回食べたのは、鹿児島ラーメン とんとろ》だ。基本のラーメンであっても、ニンニクチップは乗っており、濃厚な味わいを楽しめる。スープは濃厚なのだが、不思議と臭みやしつこさはなく、締めでもあっさりと食べきれる風味である。ニンニクチップをかき混ぜると、また一層、風味が立つのが面白い。

f:id:nagappi:20180127200229j:plain

 2日目は、指宿方面で食を得る。指宿と言えば、枕崎にほど近く砂蒸し温泉があることで有名だ。街には湯気が立ち上り、車で運転していても指宿と地熱の雰囲気というものを感じずにはいられない風情のある地域である。そんな指宿では、《ヘルシーランドで食事をとることにした。ヘルシーランドには《たまて箱温泉》という絶景を楽しめる温泉があるのだ。温泉で温まりお腹がすいた人には、ヘルシーランドかつお御膳》がおすすめだ。6品ついており、中でもカツオのたたきが絶品!絶妙に調整された三杯酢の酸味とカツオの旨み、そして薬味が混ざり合うことで、いくらでもカツオを食べられてしまう気分になる。地元の特産のお漬物とともに味わう白米もまた絶品。

 ここまでは、魚だったがやはり肉も外せない。2日の夜は、黒豚のしゃぶしゃぶだ。しゃぶしゃぶが食べられてかつ、いい感じの雰囲気で食事をしたいと思い人には、《いちにいさん 鹿児島本店》がおすすめだ。カウンター、テーブルどちらでも雰囲気の良い中で食事ができる。《にいのコース》では、揚げ物やとんこつがお食事としてついており、しゃぶしゃぶを堪能する前は最高の腹ごしらえになる。たっぷりのネギとそばつゆで頂くしゃぶしゃぶは、豚の油をあっさりとした味わいで堪能できる一品だ。しゃぶしゃぶの後には、お蕎麦を鍋に投入して蕎麦を湯がいて食べるのが鹿児島流。蕎麦は更科であり、しゃぶしゃぶ後にも食べやすい一品だ。

f:id:nagappi:20180128191513j:plain

 3日目は、2日目夜に続いて霧島で肉である。霧島と言えば、黒さつま鶏に代表される鶏肉である。鶏肉を堪能するには、はやり、まずは焼きであり、《各部位》を堪能したい。そこで、選んだお店は、《地鶏料理みやま本舗》だ。盛り合わせを頼み、ムネ、モモ、ハツ、キモ、ナンコツを食した。にんにく醤油タレにどの部位もよくマッチするのだが、特にキモがおいしい。キモのおいしさがタレとよく合い、ご飯が進んでしまう。

f:id:nagappi:20180129113522j:plain

 鹿児島で忘れてはいけない調味料がある。黒酢だ。鹿児島県内の黒酢の生産地と言えば、福山市だ。福山は年間の平均気温が18度前後あり、県内でも有数の温暖なエリアである。それゆえ、200年前から黒酢の製造がおこなわれており、黒酢の発酵の元となる酢酸菌も福山という土地に根付いているものらしい。福山の黒酢といえば、《桷志田(かくいだ)》である。ここには、レストランが併設されており、黒酢がどんな料理の幅を広げてくれるのか、酸味を愛する人間たちにはテーマパークにも似たワクワク感と期待値をもたらしてくれるスポットだ。ランチは非常にバリエーションに富んでいる。何よりの特徴はすべての料理に、黒酢が使われているということだ。食べ始める前は黒酢の酸味ばかりが先行している料理になっているのではないかという懸念もあったのだが、私の浅はか予想は軽く打ち砕かれるのであった。黒酢自体は、最適な濃度にして使うことで酸味よりも旨みを引き出して、料理のさわやかさを引き立てる能力があるのだ。これも福山の地で、壺を使ってじっくりと米と麹で熟成させる《本物の黒酢だからこそなしえる味わいなのだ。

f:id:nagappi:20180129150837j:plain

 《食のテーマパーク》と言っても過言ではない鹿児島には、まだ食べきれぬものがあり過ぎると判明した食の旅路であった。