四万たむら@四万温泉は最高の日帰り温泉

 四万温泉群馬県の吾妻エリアに位置する中之条町に位置する温泉だ。山を越えれば、長野県と新潟県にすぐに行けてしまうような位置にある。四万温泉中之条町の四万エリアにある温泉で国道353号線の行き止まりにある。国道の行き止まりというだけですでにワクワクさせてくれる温泉だ。高速道路からのアクセスは、渋川伊香保ICで降りて一般道で約1時間程度だ。四万温泉への道は、山道によくあるグネグネ道ではさほどない。同乗者に酔いを促さない点もアクセス上の良いポイントだ。

 四万温泉のアクセスで注意しなくてはいけないのは、駐車場がすべての施設に潤沢にあるというわけではない点だ。四万温泉の入り口には、公共の駐車場がある。公共駐車場に車を置いて温泉に行くという流れだ。もちろん本エントリーで主に紹介する四万たむらには駐車場がある。事前に駐車場の有無をチェックすることが肝心だ。

 四万温泉には42の源泉があり、うち39か所は自然湧出、3か所は掘削湧出となっている。掘削深度も100m~300m程度である。まさしく、四万温泉の湯は川から湧き出ると言ってもよいのではないか。

 今回伺った宿「四万たむら」は、その起源をたどると室町時代永禄6年にまでさかのぼる由緒正しい宿だ。「四万たむら」のしつらえは、その歴史に恥じぬ整ったものである。玄関やロビー、温泉までの通路はよく整備・掃除されており不快感を微塵さえも感じさせない。藁葺屋根の母屋は、「四万たむら」のシンボルとしての役割以上に、宿を訪れるものを「四万たむら」の深い歴史に誘い、温泉への期待値を最高に引き上げてくれるものだ。

 宿の女将さんの振る舞いの気持ちよさこそ、「四万たむら」の競争力となっているのだと思う。日帰り温泉にて伺ったのだが、浴場の案内と丁寧にしてくださった。

 「四万たむら」には、全部で7つの湯があるが、今回の露天風呂「森のこだま」、庭園露天風呂「甌穴(おうけつ)」、檜風呂「御夢想の湯」に入ることにした。むろん、伺った日は雨ときどき曇りの天気であったが、この天気がむしろ最高だった。「森のこだま」は川に面した露天温泉だ。透き通る泉質の温泉は、ほんのりと温泉独特の風味を漂わせる。時間は11時頃だったため、一人貸し切りの状態である。川の音と雨の音、雲の流れの幻想的な雰囲気の中で入る温泉は、晴れた日に入る温泉とは異なるものを感じさせてくれるものだ。「甌穴」はより川に近いイメージで入れる温泉だ。もちろん外部からの視線は防げるようになっている。岩と屋外の涼しさそして温泉の香りを体験することで、むしろ本来あるべき温泉の楽しみというものを体感したように思う。「御夢想の湯」は檜風呂であり、檜の香りが漂う浴場だ。「甌穴」とは対照的に檜で作れられた浴槽と温泉の香りのオーケストレーションを楽しむことができる。

 日帰り温泉は、昼食なしで1,730円であり金額だけみると若干割高と思われるかもしれない。しかし、7つの浴場と源泉かけ流しの湯を素晴らしい宿で体験できるとなれば、この金額はむしろリーズナブルと言えよう。